出来上がった就業規則が法令に抵触していないか。必要記載事項に漏れがないか-
労基署では届出の際に条文をひとつひとつ詳細にチェックするわけでなく、サッと目を通してバスンっと受領印を押すケースがほとんどです。
つまり、出来上がった就業規則の詳細なチェックは誰もしてくれません。
(詳しくは前回の記事)
そんな時に重宝するのがモデル就業規則です。
中でも、行政機関が配布するものや実務書などに添付されているものであれば法令に抵触しているはずもなく、必要記載事項にも漏れがないので安心です。
つまり、すでにチェック済みの就業規則が簡単に、しかも無料(またはタダ同然)で手に入るのです。
でも、ちょっと待ってください。
モデル就業規則はいわば「出来合い」の就業規則。
出来合いであるがゆえに、企業規模・企業体力・業種等の自社の実態はもちろん反映されていません。
しかし、これまで見てきたとおり、就業規則は、合理的な労働条件が定められており、労働者に周知させていた場合には労働契約の内容となります。
つまり、出来合いの内容がそのまま自社の契約内容となってしまうのです。
決してモデル就業規則そのものが悪いわけではありません。
出来合いのモデル就業規則をそのまま使ってしまうことが問題だと言いたいのです。
モデル就業規則は、いわば「たたき台」。
企業規模・企業体力・業種等の自社の実態を十分に考慮し反映させる必要があることはもちろん、法令の基準を大きく上回るような「できない約束」はしないようにすることなども意識しつつ、このたたき台に適宜手を加えていくことで自社の就業規則に相応しい内容となるよう、その精度を高めていくことが必要なのです。