さて前回は、「働き方改革」を推し進めるうえで、まずは働き方改革関連法を知ることが大切だという話をしました。
厚生労働省は、この改革の実現のために働き方改革の3つの柱を設定しています。
働き方改革の3つの柱
- 長時間労働の是正
- 多様で柔軟な働き方の実現
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
この3つの柱は、働き方改革の最重要課題。
そして、この最重要課題の克服の具体策として制定されたのが働き方改革関連法です。
ということで、まずはその全体像を見ていきましょう。
なお、働き方改革関連法の内のいくつかは、大企業と中小企業で施行日が異なります。
ここでいう中小企業とは、次の表のとおり「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者数」のいずれかが表中の基準に該当するものを言います。
また、事業場単位ではなく企業単位であることに留意する必要があります。
業種 | 資本金の額 または出資の総額 |
または | 常時使用する 労働者 |
---|---|---|---|
小売業 | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | または | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | または | 100人以下 |
その他 (製造業、建設業、 運輸業、その他) |
3億円以下 | または | 300人以下 |
働き方改革関連法の全体像
1.時間外労働の上限規制
2.年次有給休暇の確実な取得
3.中小企業の月60時間超の残業の割増率引き上げ
4.労働時間の客観的な把握
5.フレックスタイム制の拡充
6.高度プロフェッショナル制度の創設
7.勤務間インターバル制度の導入促進
8.産業医・産業保健機能の強化
9.同一労働同一賃金
中小企業における働き方改革
いかかでしょう?
やらなければならないことがたくさんあって驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、中小企業にとっては、「フレックスタイム制」「高度プロフェッショナル制度」「産業医・産業保健機能の強化」の影響は限定的なのではないかと思われます。
また、「勤務間インターバル制度」は今のところ努力義務ですし、「月60時間超の残業の割増率引き上げ」は2023年まで猶予期間があります。
よって、中小企業にとって今すぐ取りかからなくてはならないのは「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の確実な取得」「労働時間の客観的な把握」そして「同一労働同一賃金」です。(同一労働同一賃金の中小企業の施行は2021年からですが、今から準備をしておく必要があります)
次回からは、この4つについて順次みていくことにします。