働き方改革ー
貴社では順調に進んでいるでしょうか?
「働き方改革」という言葉それ自体は、ここ3年ほどの間でやたらと目や耳にした言葉ですよね。
ただ、その言葉の意味は使う人によってまちまちで、微妙なズレが生じているようにも感じられるのは私だけでしょうか。
そもそも働き方改革とは…
厚生労働省の働き方改革特設サイトによると、「働き方改革」とは次のように説明されています。
この改革の実現のために、厚生労働省は働き方改革の3つの柱を据えました。
そして、この3つの柱は「働き方改革関連法」という形に集約され、2019年4月から順次施行されています。
あやふやな「働き方改革」の意味
とあるコンサル会社が、2017年1月から2019年4月にかけて企業の実態調査を行ったところ、働き方改革に成功していると答えた企業が1割程度しかなかったという記事を見ました。
でも、これには少し違和感を覚えます。
というのも、働き方改革関連法が施行されたのは2019年4月。関連法の内のいくつかは中小企業においては2020年4月施行。
つまり、働き方改革関連法が施行される前から成功か失敗かを論じているわけです。
このように、「働き方改革」を語る際に、働き方改革関連法という側面をあまり考慮に入れていないように見受けられるケースが少なくないように感じられます。
一方で、私たち社会保険労務士は、「働き方改革」を働き方改革関連法の順守という側面だけで捉えてしまう傾向があるのかもしれません。
これが前述した「働き方改革という言葉が、使う人によってまちまちで、微妙なズレが生じているようにも感じられる」ゆえんです。
法令を守ることが目的ではないとはいえ…
働き方改革は、もちろん、法律を守ること自体が目的ではありません。
でも、法律を守らなくてよいわけでもありません。
何をもって「改革が成功した」と捉えるかは様々でしょうが、成功だと思っていても一方で法違反に問われては元も子もないでしょう。
例えば、ある会社では年間休日を10日増やす施策をとりました。経営陣は「これぞ我が社の働き方改革だ!」と胸を張ります。
一方で年次有給休暇の取得はゼロ。
この会社は、働き方改革関連法によって年次有給休暇を少なくとも5日は取得させなければならなくなったことを知らなかったのです。
年間休日が10日増えたのだから、年次有給休暇が取れないことには目をつむろう。いや、むしろ5日の年次有給休暇より10日の休日を与えている方が余程「改革」が進んだと言えるのでは―
企業側としてみれば、そんなふうに考えたくもなるかもしれません。
けれど法律はそれを許さない。
このままでは法違反として労働基準監督署の是正勧告を受け罰則を科されることにだってなりかねないのです。
さらに言えば、たとえ休日が増えても、従業員の目には法令を守らないブラックな会社としか映らないかもしれません。
それでも「働き方改革は成功した!」と胸を張れるでしょうか?
まずは働き方改革関連法の内容を知りましょう
法律を無視して-いや、無視しないまでも法律を知らずに働き方改革を進めている企業はいったん立ち止まるべきでしょう。
まずは法律を知りましょう。
そのうえで働き方を改革していきましょう。
というわけで、次回は働き方改革関連法の全体像を見ていくことにします。