就業規則は業績向上のためになるのか?

就業規則は業績向上のためになるのか? 就業規則のほっとけない話

就業規則に業績向上という概念が持ち込まれるようになったのは、いつの頃からでしょうか。
私の認識が正しければ、今から15年程前に出版された某社会保険労務士の著書がきっかけだったのではないかと。

当時の私もこの著書を手にし、それこそバイブルとして崇め奉らんばかりに大いに影響を受けたものです。「就業規則は業績向上のために」なんていうセミナーをやったりもしましたし。

この著書では、就業規則を3つのレベルに分けているのですが、要約するとこんな感じになります。

  • レベル1 ひな形丸写しの危険な就業規則
  • レベル2 トラブルの予防と解決に活用できるリスク対策型就業規則
  • レベル3 社員の”安心”を満たし”やる気”に火をつける業績向上型就業規則

著書で主張されているのは「レベル2の機能は当然に備えたうえで、さらに上を行くレベル3の就業規則を目指しましょう!」ということ。

それから15年。
今、ネットを漁ると、多くの社会保険労務士が業績向上型の就業規則を目指すべきであると訴えています。
業績向上型就業規則は、今や就業規則のスタンダードになったと言ってもいいでしょう。

私も2007年の開業当初から、レベル2の機能は当然に備えたうえで、さらに上を行くレベル3の就業規則作成を手掛けていて、そのコンセプトは『就業規則あんしんサポート』というサイト名にも表れています。そりゃもう、バイブルでしたからね。

でも、いつの日からか、ことさら大げさに「業績向上」という言葉を強調することはしなくなりました。
どうしてかというと・・・


・・・と、ここで一つ質問させてください。
あなたは何のために会社を経営しているのでしょう。
けっして教科書的な答えを求めているのではなく、ましてや禅問答をしたいわけでもないのですが― 

おそらくは、何らかの目指しているものがあり、それを成し遂げるために会社経営をしているのではないでしょうか。
目指しているものとは、売上とか利益であるかもしれませんし、理念や理想、あるいは夢や野望であるかもしれません。

教科書的な答えを求めているわけではないので何でも構わないのですが、一つ言えることは、目指しているものの範囲は結構広いんじゃないかということ。
私が、自らバイブルと呼ぶほど入れ込んだ著書に対し一つだけ批判的に見る点があるとすれば、それは著者が「業績」という言葉を「売上や利益」という狭い範疇で捉えすぎてしまっているのではないかという点です。

対して、私が【業績向上型就業規則】という時の【業績向上】とは、必ずしも「売上や利益」とかだけではではなく、もっと幅広く「目指しているものに対する成果」という意味に捉えています。
つまり、「成し遂げたいと目指しているものに近づくこと=業績向上」だと、そういう意味に解釈しているわけです。

では、もう一つお聞きしますね。
あなたの会社はなんのために人を雇うのでしょう。

私の解釈では、これもやはり「目指しているものを成し遂げるため」となります。
あなたが人を雇うのは、あなた一人だけでは目指しているものを成し遂げるのが難しいので、人を集めて協力してもらおうということなのだと思うのです。
いずれにしても、会社が人を雇うのは、これもやはり「業績向上のため」ということになります。

だとすると―

業績向上のために人を雇うのであれば、その人を管理(=労務管理)するのも業績向上のためであるはずですし、であるのなら労務管理のためのツールである就業規則も業績向上のためにあるはずです。
そう、つまり就業規則は、ことさら大げさに強調しなくても、そもそも業績向上のためにあるものなのです。
私が「業績向上」という言葉をことさら強調しなくなった理由はこういうことです。

そしてこれが、今日のこのブログのタイトルである「就業規則は業績向上のためになるのか?」に対する答えです。
つまり、「就業規則はそもそも業績向上のためのもの」ですよと。
いや、もっとはっきりと答えてよ! と言われそうなので、はっきりと答えますね。

就業規則は業績向上のためになります! だって、その為のものなのだから!


ところが、そういう視点というかマインドを持っている経営者は非常に少ない。
なので、就業規則を作成する理由はもっぱら「法律で決まっているから」になりがちなわけです。
よって、まずは「トラブルの予防と解決のために」というリスク対策の視点とマインドを持てるのなら、それだけで「法律で決まっているから」だけの経営者には大きな差をつけることができると思っていいでしょう。 

でも、そこで考えを止めないでほしいのです。

あなたの会社はなんのためにリスク対策をするのでしょう。
間違ってもリスク対策それ自体が目的ではないですよね。

従業員との間でトラブルが生じると、会社はその対応に貴重な時間を割かれたり、解決のために支出を強いられたり、他の従業員や取引先さらには顧客から信頼を失ったりということになりかねません。
これらは、業績向上にとっては大きな妨げとなります。
その妨げとなるものを回避するためにリスク対策を行うのではないですか。
つまり、リスク対策もやはり「業績向上のため」ということになるわけです。

就業規則が無ければ目指すべきものに到達できないなどとは申しません。
でも、早く真っすぐにそこに到達したいのなら就業規則は強い味方となります。

就業規則は、目指しているものに早く真っすぐに到着するためのもの。
そう考えるとちょっとワクワクしてきませんか?
そういう就業規則を作ってみたいと思いませんか?