嫌でも思い出される福袋販売

嫌でも思い出される福袋販売所長のどうでもいい話

福袋を買ったことはありますか?
わたしは、買ったことはありませんが、売ったことはあります。
10年ほど百貨店に勤めていたので。

この時期になると嫌でも思い出されますよ。福袋販売のこと。


私は子供服売場に勤務していたのですが、子供服の福袋って言ったら、親御さんたちがオープンと同時に血眼になって奪い合いを始めるほどの人気商品。

非販売部門からの警備応援あり、ロープで仕切っての入場制限あり、拡声器あり、怒号あり、お客様同士の掴み合いのケンカあり…   

初売りの日から、いきなり一年で1,2を争う忙しい日を迎えてしまうわけでして。
正直、元日もおちおちとお屠蘇気分でなんかいられやしなかったですねぇ。


お客様の安全と利便性、そして売る側の安全と効率― 
毎年、どうやって販売するのが一番良いのかを考え、行き着く結論は「完全予約制」

しかし、上層部がそれを許してはくれない。
曰く、「子供服の福袋販売は盛り上がる。初売りの雰囲気作りにはぴったりだ!」
まぁ、確かに完全予約制にしてしまったら、予約したお客様しか初売りに来ませんからね。

開店前から店の周りで長蛇の列を成したり、開店と同時に売場までダッシュで階段駆け上がってきたりというシーンは話題性タップリで、TVニュースでも取り上げてもらえるわけですよ。
上層部の狙いはそこ。タダで宣伝してもらえるわけですから。

でも、やっぱり現場はたいへん。
混乱をいかに無くし、それでいて盛り上がる販売方法を考える― 
それを任されていた私にとって、福袋販売は地獄の苦しみであったのと同時に腕の見せ所でもあったのです。


2000年のクリスマスに、その店は事実上の倒産で閉店。
私も職を失いました。

「あ~もう、福袋販売のこと考えなくて良いんだ!」って、失業したのに妙に晴れ晴れとした気分で年を越したのを覚えています。

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